花束書房

幕末→大正期の女性史マガジン■北村兼子研究(復刊)■編集・出版業(準備中)。

【北村兼子】女性有名人・一般女性たちの「政治的発言」@100年前の女性誌


★雑誌『婦人倶楽部』(大正15年/1926年)「吾等女性は何を一番痛切に要求するか」と題した企画に寄稿したものです。兼子以外の女性たちの意見も、同企画内から抜粋して掲載します(肩書は記事中ママ)。

★この年の秋ころから、大衆紙上で北村兼子に対するセクハラ、バッシングが悪化。これに対して兼子は同誌で被害体験も寄稿しています。『婦人倶楽部』は料理やファッション、生活ネタなど一般的な女性誌の面もありつつ、政治や社会問題に対して女性が堂々と声を届ける雑誌でもありました。

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*参政権さえ与えたら 北村兼子(大阪朝日記者)

 ただいま、婦人が要求しているところは公娼廃止、家庭における婦人の位置、民法(妻の財産権など)、刑法(姦通など)の改正、婦人の保護(深夜業、工業など)いろいろありますが、そんなものは目先の問題で、参政権さえ与えたら、みなゴテくさなしに解決します。

 現に普選によって政治的に差別が撤廃せられ、極端なる左傾派のほかは、これに対する不平は除かれて、単に経済上の争いに方面が転換しました。ただ取り残されているのは、婦人と乞食だけです。参政権さえ与えたら、諸種の問題は解決されるのです。

 その次は男女共学です。女をことさらに馬鹿にする教育をやめて、男とか女とかいう性別を除き、ともに「人」としての知識を授けるがいい。

 なんですって? 風紀問題が? タオルひとつの湯上り姿で群集の間をかきわけて通る勇敢な女選手さえあるのですもの。


*男子同様に 水谷八重子(女優)

 女としてのHandi-capをつけないこと。



* “女のくせに”を除きたい 松平俊子(子爵夫人)

 一、「女のくせに」という言葉を、この社会から取り除きたい。

 二、おとなしい婦人という賞賛の言葉が、もっと実質的に向上した意義によって用いられんことを希望する。

 三、それには女性自身がいま少し真面目に自覚ある生活をなし、修養によって、人格的にも知識的にも権威を持ち得ねばならぬと痛切に感ずるのであります。



*給料制度を 川崎葉子(レストラント女給)

 私は、私と同様な境遇にある女性の方々とともに、まずなにより絶叫したいのは、私共の待遇を給料制度にしていただきたいことです。乞食のようなチップ制度を廃止て、他の職業婦人と同様に給料を欲しいというのです。

 職業婦人として私共があまりに卑下されておるのも、これがためではないかと思います。自動車でさえチップが廃されるようになって、いかに快くなったかわかりません。


*女同志助け合いたい 奥むめお(婦人運動家)

 女同志がもっと親密になりたい。

 女の地位を高めるためにも、また、社会の半分の責任になって、男子とならんで世のため人のため、家庭のために働いてゆこうにも、女に理解と同情をもつ男子が多くなってほしいと願われますが、それ以上に女同志がもっと知り合い、助け合い、励まし合い、協力し合うようになりたいものです。


*自分でもみ消す 梶原緋佐子(書家)

 「女性であるがゆえに」という言葉の下にかなり強く内在する心の要求の種々をも、自分で強いてもみ消しているような日常であることを恥ずかしく存じます。と、いっていわゆる泣き寝入りに落ちたくはありません。なにを第一に――というほど確たるお答えはできませんが。



*玩具(おもちゃ)にしない様に 米沢順子(詩人)

一、政治家にしても、政党にしても、国家や国民、また政治そのものを、ひとつの玩具にしないようにと、何よりもそれを要求いたします。

二、身体の窮屈でない、旅行等に便利な、しかも私たち日本婦人によく似合う服装がほしいと、これは現在旅行しつつ切に感じていることです。



*女性自身の自覚を 下島貞子(製糸工場教婦)

 近来女性に対する男性の態度が非常にまじめになってきたように思われますが、いまだ女性を人間らしい取り扱いをせぬ方があるのを残念に思います。第一に、そうした男性のなくなることを望みます。

 第二には、女性自身においても、お互いが充分に自覚して、恥ずかしい行いを平気ですることのないように、すべての社会制度が男性と対等にされる日がきてもまごつくことのないようにしたいと思います。



*婦人の手で造られた世界を 今フミ子(今東光氏夫人)

 あんまり広範なご質問でなんとお答えしていいかわかりませんが、今の世界は政治にしろ、法律にしろ、あまり男の方々の御手になっている感がございますので、将来は婦人の手にも造られた世界がほしいと存じます。



*謬(あやま)れる因習を毀(こわ)したい 泉屋庸子(歌人)

「吾等女性」という代名詞はこの場合少し漠然としているようです。従ってどうお答えしたよいかに迷いますが、もし広い意味の今日の女性として、それも日本の女性としてどんな要求があるかとおっしゃるなら、「女性を家庭の日用品と考える観方と、女性を男性の付随物であると信ずる思想とを、実際上の社会律から抹殺していただきたい」ということを第一に希望いたします。

 この社会生活発展に向けられた女性の地位、または権利の向上に対する考察は、すでに女性の自覚と一部男性の唱道するところになっていますが、今はもうその考察に対する本質上の可否を論ずるときではなく、実際の問題として女性にとって最も超えがたき「謬(あやま)れる因習の社会律」を壊すことに努力すべきときだと思います。法律はそれから後に生まれてもよいと思います。


*経済制度の改変 神近市子(評論家)

 凡(すべ)ての社会悪と婦人子供、下層階級の隷属を生んだ経済制度の改変というよりほかにお答えのしようはありません。



*高等専門教育 立松房子(声楽家)

 各階級によってその要求は異なれども、従来高等専門教育は男子にのみ重きをおかれたりしが、最近特に、震災後は一般的にこの必要を感じ来たりて、女子にも高等専門教育の高潮を叫ばるる傾向あるは疑いもなき明らかな事実なるが如し。





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